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配合変化の調べ方|添付文書・IF・配合変化表の順番

配合変化の調べ方
ひゃくさん

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どーも、病院薬剤師のひゃくさんです。注射薬を混ぜてよいか調べるとき、添付文書、インタビューフォーム、メーカーの配合変化表のどれを、どの順番で開くかをまとめました。根拠は、日本病院薬剤師会のインタビューフォーム記載要領と、実際の添付文書・インタビューフォーム・配合変化資料の記載です。

どの順番で調べる? ①添付文書、②インタビューフォームの「Ⅳ.8」、③メーカーの配合変化資料、④書籍、⑤製薬企業への問い合わせの順です(この記事の提案)。

配合変化表の「変化なし」は、どの条件でも同じ? その資料の試験条件の中での結果です。条件の外のことは、その表からはわかりません。

「該当しない」と書いてあったら? 混ぜてよいという意味ではありません。次の資料に進みます。

配合変化は、何を見れば分かる?

配合変化とは、2剤以上を混ぜたときに、外観の変化や含量の低下などが起こることです。調べる資料ごとに、分かることと分からないことが違います。

資料 分かること 分からないこと
添付文書 溶解液・希釈液の指定、混合してはいけない薬剤 製品によっては、配合変化の項目そのものがない
インタビューフォーム 溶解後の安定性、配合変化の試験結果(検討結果がある場合) 「該当しない」「該当資料なし」の製剤は、可否が分からない
メーカーの配合変化表 多数の薬剤との外観・pH・残存率の実測値 試験した濃度・量・混合比・時間の外

書籍(例:南江堂「注射薬配合変化データブック」)は、これらの資料を集めた情報です。製薬企業への問い合わせは、資料にない社内データがあるかを聞く手段です。

調べる順番は?

この記事では、次の順番で開くことを提案します。

  1. 添付文書の「用法及び用量」と「適用上の注意」を読む。溶解液・希釈液の指定は「用法及び用量」に、混合してはいけない薬剤や混合しない旨の指示は「適用上の注意」に書かれている製品があります。PDFを開いたら、「配合」「混合」「溶解」「希釈」で文字検索します。
  2. インタビューフォームの「Ⅳ.8」を開く。試験結果が書かれているか、「該当しない」「該当資料なし」か、別資料への参照かを見ます。別資料への参照があれば、「ⅩⅢ.2」に転載されていることがあります。
  3. メーカーの配合変化資料で、2剤の組み合わせを探す。見つけたら、表の前に書かれた試験条件と注意事項を先に読みます。
  4. 書籍で調べ、載っていなければ製薬企業に問い合わせる。

添付文書の、どこを見る?

「14. 適用上の注意」を見ます。小見出しは「薬剤調製時の注意」「薬剤投与時の注意」などで、製品ごとに違います。たとえばアムビゾーム点滴静注用50mgは、「14.1.1」に、溶解には注射用水のみを使い、希釈には必ず5%ブドウ糖注射液を使うことを書いています。「14.2.3」には、他の薬物とは混合しないことも書かれています。この場合は、配合変化表を探す前に、混合しない薬剤だと分かります。

ファンガード点滴用は、「14.2 配合禁忌」に、配合直後に濁りが生じる主な薬剤(バンコマイシン塩酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、ミノサイクリン塩酸塩など)の一覧があります。この一覧は主な薬剤で、これら以外の薬剤との配合でも濁りや力価の低下が起こりうると、インタビューフォームに書かれています。項目名の「配合禁忌」は、添付文書の「2. 禁忌」(患者さんへの投与を禁止する項目)とは別のものです。

インタビューフォームの、どこを見る?

「Ⅳ.8 他剤との配合変化(物理化学的変化)」を見ます。記載要領は、検討結果がある場合に、試験方法と結果を書くよう求めています。検討結果がない製剤には、試験結果は載りません。詳しい資料が別にある場合は、その旨がⅣ.8に書かれ、可能であれば「ⅩⅢ.2 その他の関連資料」に転載されます。

  • アムビゾーム点滴静注用50mg(第16版):Ⅳ.8に、溶解には必ず注射用水を用い、希釈には必ず5%ブドウ糖注射液を用いることと、その試験結果が載っています。5%ブドウ糖注射液で溶解しない理由(薬液が高張となること)は、添付文書でなくインタビューフォームに書かれています。
  • プラビックス錠25mg・75mg(第25版):Ⅳ.7とⅣ.8が「該当しない」です。この文言は、他剤と一包化や混合をしてよいかどうかについて、何も述べていません。可否を知りたいときは、別の資料に進みます。

配合変化表は、どう読む?

表で「変化なし」と書かれた行は、その資料の試験条件のもとで、その項目(外観、pH、残存率)に変化がなかったことを示しています。試験していない濃度・混合比・時間は、表からは分かりません。

たとえば、タゾバクタム・ピペラシリン製剤の資料では、アミノレバン点滴静注などが、注射用水20mLに溶解して配合した場合は3時間後に著しい力価の低下が認められました。生理食塩液100mLに溶解して1:1で混合した場合は、3時間後でも著しい力価の低下は認められませんでした。同じ薬剤の組み合わせでも、溶解液と混合比が違うと、結果が違います。

読むときは、表の前にある試験条件と注意事項を見て、自分が混ぜる濃度、量、混合比、時間が条件に入っているかを確かめます。

載っていないときは?

製薬企業に問い合わせて、社内データがあるかを聞きます。日本病院薬剤師会雑誌(2019年)は、インタビューフォームを、不足する情報を医療関係者が製薬企業のMRなどへのインタビューで補足していく資料と位置づけています。データがないと返ってきたときは、混ぜずに投与する方法(ルートを分ける、時間をずらすなど)を処方医と相談する方法があります。

薬剤師の方へ:注射薬の調剤に限らず、病院で働く薬剤師向けの記事を薬剤師向けのまとめページに集めています。塩化カリウム注射液のように、希釈後の濃度と投与速度の上限が決まっている注射薬は、塩化カリウム注射液の投与速度・希釈濃度・1日量の記事に表にしています。
くわしい条件

情報源の詳しい項目名

  • 添付文書:「6. 用法及び用量」「14. 適用上の注意」。小見出しは「薬剤調製時の注意」「配合禁忌」「薬剤投与時の注意」など製品ごとに違います。
  • インタビューフォーム:「Ⅳ.7 調製法及び溶解後の安定性」「Ⅳ.8 他剤との配合変化(物理化学的変化)」「ⅩⅢ.2 その他の関連資料」。試験した組み合わせ以外は載っていません。
  • メーカーの配合変化資料:「配合変化に関する資料」「輸液製剤配合変化情報集」「配合変化表」など。試験時期より後に変わった添付文書の内容は反映されません。
  • 書籍:インタビューフォームや配合変化表を集めた情報で、一部の薬剤は独自実験の結果も載っています。刊行時点より後に出た資料と、収載のない薬剤は分かりません。
  • 製薬企業への問い合わせ:各社の医療関係者向けサイトや担当MRに聞きます。

添付文書の記載要領と実例

厚生労働省の記載要領(薬生発0608第1号、平成29年6月8日)は、「14. 適用上の注意」に、投与経路、剤形、注射速度、投与部位、調製方法、患者への指導事項など、適用に際して必要な注意事項を書くとしています。小見出しは、「薬剤調製時の注意」「薬剤投与時の注意」「薬剤交付時の注意」またはその他の適切な項目です。

製品(添付文書の版) 溶解・配合に関わる項目名と内容
ファンガード点滴用25mg・50mg・75mg(2024年6月改訂 第3版) 「6. 用法及び用量」に、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は補液に溶解することと、溶解にあたっては注射用水を使用しないこと(溶液が等張とならないため)。「14.1 薬剤調製時の注意」に、溶解時に泡立ちやすいので強く振り混ぜないこと。「14.2 配合禁忌」に、他剤と配合したとき濁りが生じることがあり、塩基性溶液中で不安定なため力価の低下が生じることがあること。続けて、配合直後に濁りが生じる主な薬剤と、力価低下が生じる主な薬剤の一覧
アムビゾーム点滴静注用50mg(2022年10月改訂 第1版) 「14.1.1」に、溶解には注射用水のみを使い、希釈には必ず5%ブドウ糖注射液を使うこと。「14.1.2」に、溶解液又は希釈液として生理食塩液等の電解質溶液を使用しないこと(濁りを生じることがある)。「14.2.3」に、他の薬物とは混合しないこと、既に留置されている静注ラインは5%ブドウ糖注射液であらかじめ置き換えること、これができない場合は別のラインを使って投与すること

ファンガード点滴用の一覧には、配合直後に力価低下が生じる主な薬剤として、アンピシリンナトリウム、アシクロビルなども並んでいます。ファンガード点滴用のインタビューフォーム(2024年6月作成 第2版)のⅧ.11の解説は、本剤と全ての注射薬との配合変化が確認できているわけではないため、表に示したものは主な薬剤であり、これら以外の薬剤との配合でも濁りが生じることや力価が低下することもありうると書いています。

インタビューフォームの項目(記載要領2018、2019年更新版)

  • Ⅳ.1(4) 製剤の物性:pH、安定なpH域、浸透圧比、粘度などを、可能な限り実測値で記載。
  • Ⅳ.7 調製法及び溶解後の安定性:用時溶解して使用する製剤の調製法と、溶解後の安定性を、室温などの条件別に記載。
  • Ⅳ.8 他剤との配合変化(物理化学的変化):水剤・散剤や注射剤の他剤との配合変化、錠剤等の一包化調剤で他剤と同時に分包した際の変化の検討結果がある場合は、試験方法と試験結果などを記載。
  • Ⅴ.3(1) 用法及び用量の解説:注射剤は、希釈、溶解方法、施用速度及び投与ルートと、その理由を記載。
  • Ⅷ.11 適用上の注意:投与する際に必要な注意、服薬指導などを記載。

アムビゾームのインタビューフォームの試験結果

アムビゾーム点滴静注用50mgのインタビューフォーム(2025年5月改訂 第16版)のⅣ.8には、溶解時に注射用水、生理食塩液、5%ブドウ糖注射液を使った試験の結果が載っています。生理食塩液では、注射用水で溶解した場合と比べて吸光度の増大などがあり、溶解した本剤の分散状態に影響があることが示唆されたと書かれています。5%ブドウ糖注射液では分散状態の変化は確認されなかったものの、調製された薬液が高張となるため使用を避ける必要があると書かれています。添付文書の「14.1.2」は、電解質溶液を使わない理由として濁りを挙げています。

希釈時の試験もあります。注射用水で溶解したあと、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液、ポタコール、ヴィーンDに希釈した場合、生理食塩液、ポタコール、ヴィーンDのいずれも、5%ブドウ糖注射液による希釈と比べて吸光度の増大などがあったと書かれています。

デパケンのインタビューフォーム(経口薬のⅣ.8とⅩⅢ.2)

デパケン錠・細粒・シロップ・R錠のインタビューフォーム(2026年4月改訂 第9版)の「Ⅳ.8」には、細粒40%とシロップ5%の記載があります。細粒40%は、主な変化は吸湿によるもので、被験薬の凝集と半透明化が観察されたと書かれています。シロップ5%は、他のシロップ剤と混合調剤した場合、相手薬によっては色調などの外観変化が認められること、バルプロ酸ナトリウムの水溶液はpH6.8以下で一部解離してバルプロ酸が遊離するため、オイル状物質が観察される場合があることが書かれています。

「ⅩⅢ.2 その他の関連資料」には、デパケン細粒40%の配合変化試験成績(90日)が、試験方法とともに載っています。冒頭の「本項の情報に関する注意」は、この項が本剤の物理化学的安定性に関する情報であり、他剤と配合して使用した際の有効性・安全性の評価は実施していないこと、配合した他剤の物理化学的安定性は検討していないことを書いたうえで、他剤と配合して使用する際には各薬剤の添付文書を確認し、判断するよう求めています。

メーカーの配合変化資料の比較

資料 試験のやり方 測っている項目
扶桑薬品工業「輸液製剤配合変化情報集 ヴィーンF輸液」(2022年11月改訂) 輸液の1容器に、各注射剤を使用最小単位(1回分、原則1管)としてシリンジに吸い取って混合。乾燥製剤は添付文書の記載に従って溶解。試験実施は2017年1月〜5月 混合直後、1、3、6、24時間後の外観とpH(散光下、室温)。残存率は測っていない
第一三共エスファ「タゾピペ配合静注用4.5「DSEP」 配合変化、pH変動試験に関する資料」 配合方法1(本品4.5gを生理食塩液100mLに溶解して配合)、配合方法2(注射用水20mLに溶解して配合)、配合方法3(生理食塩液100mLに溶解し、1:1の比率で混合)の3通り 性状(外観)、pH、定量(残存率。配合直後の含量を100.0%として算出)
大塚製薬工場「ビーフリード輸液 配合変化表」 配合薬の製品名を50音順に並べ、配合薬の調製条件と配合条件を表示。試験条件はページ内のリンクで確認 表の項目は資料のページで確認(試験条件へのリンクあり)
  • 目視と残存率:扶桑薬品工業の資料は、目視による外観変化で評価しているため環境の影響を排除できないこと、残存率で評価していないため配合変化の本質は捉えていないことを、注意事項に書いています。配合の評価には、各注射剤のpH変動試験や配合変化資料もあわせて考える必要があるとも書いています。
  • 混合比:同じ資料に、輸液製剤と注射剤の混合液量の比率による影響も考えられるため、同一薬剤の組み合わせでも結果が異なる場合があると書かれています。
  • 溶解条件で結果が変わる例:タゾバクタム・ピペラシリン製剤の資料では、アミノレバン点滴静注、モリアミンS注、モリプロンF輸液、アミノフリード輸液が、配合方法2で配合3時間後に著しい力価の低下が認められました。配合方法3では、3時間後でも著しい力価の低下は認められませんでした。この資料は「本データは、下記条件下における結果であり、他の条件下における安定性を保証するものではありません」と書き、製品を加工する行為はPL法の対象となり、その製造物責任は加工した医療関係者に帰することも書いています。
  • 時期:ヴィーンFの資料は、使用した製品の社名、製品名、添付文書は2022年9月確認時点のもので、現在のものと異なる可能性があると書いています。
  • 推奨ではないこと:ビーフリードの配合変化表は、ここに提供する配合変化データは限られた条件下で試験を実施した参考情報であり、薬剤の配合を推奨するものではないと書き、必ず各薬剤の添付文書の確認を求めています。
  • 添付文書の注意との照合:ヴィーンFの資料は、各製剤の添付文書に配合及び安定性に関する注意喚起の記載がある場合に「注」を付けたと書き、配合の際は添付文書を確認することが望ましいとしています。大塚製薬工場や扶桑薬品工業は、輸液を基準にした配合変化表を出しています。

載っていないときの補足

日本医療機能評価機構の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 第24回報告書は、配合変化を回避することは患者さんの薬物治療で重要だと書いたうえで、疑義照会で配合変化を防いだ事例を分析しています。軟膏・クリームの事例では、軟膏・クリーム配合変化ハンドブック第2版や薬剤のインタビューフォームに配合変化の記載がない組み合わせを「不明」に分類したと書いています。

よくある質問

配合変化は、まずどの資料を見ればよいですか?

この記事では、次の順番で開くことを提案しています。添付文書の「用法及び用量」と「適用上の注意」を最初に読みます。製品によっては、溶解液・希釈液の指定や、混合してはいけない薬剤、混合しない旨の指示が書かれています。次にインタビューフォームの「Ⅳ.8 他剤との配合変化(物理化学的変化)」を開き、そのあとメーカーの配合変化資料で組み合わせを探します。

インタビューフォームの配合変化の欄が「該当しない」「該当資料なし」でした。混ぜてよいということですか?

その文言は、配合の可否を述べていません。たとえばプラビックス錠のインタビューフォーム(2023年1月改訂 第25版)は、Ⅳ.7とⅣ.8を「該当しない」と書いています。可否を知りたいときは、メーカーの配合変化資料、書籍、製薬企業への問い合わせへ進みます。

配合変化表で「変化なし」の組み合わせは、別の濃度や量でも大丈夫ですか?

表の結果は、その資料の試験条件のもとでの結果です。タゾバクタム・ピペラシリン製剤の資料は「他の条件下における安定性を保証するものではありません」と書き、ヴィーンFの資料は混合液量の比率によって結果が異なる場合があると書いています。表の前にある試験条件と注意事項を読んで、自分が混ぜる濃度、量、混合比、時間が、試験条件に入っているかを見ます。

出典

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