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SU薬(スルホニルウレア薬)|図解でわかる作用機序 副作用はなぜ起きる?

ひゃくさん

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どーも、病院薬剤師のひゃくさんです。スルホニルウレア薬(SU薬)の副作用がなぜ起きるのかを、作用機序の図からたどります。主な出典は、グリメピリド(アマリール)、グリクラジド(グリミクロン)、グリベンクラミド(オイグルコン)の添付文書と、インタビューフォーム(IF)、ガイドライン、論文です。

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どんな薬? 膵β細胞のKATPチャネルを閉じて、インスリンの分泌を促す薬です。扱うのはグリメピリド、グリクラジド、グリベンクラミドです。

副作用はなぜ起きる? 低血糖は警告に載り、体重増加はメタ解析で報告されています。糖尿病診療ガイドラインは、SU薬を「血糖非依存性」の分泌促進薬に分類します。

何に気をつける? 食事がとれない日、高齢者、腎機能・肝機能の低下、併用薬です。下痢・嘔吐のときは、3剤とも禁忌です。

SU薬は、どうやって効く?

ふだんは、血糖が高いとβ細胞の中でATPが増えてKATPチャネルが閉じ、Ca²⁺が入ってインスリンが出る。SU薬を飲むと、薬がATPを介さずにKATPチャネルを閉じ、同じ流れでインスリンが出る。日本糖尿病学会は、SU薬を血糖非依存性のインスリン分泌促進薬に分類していることを比べた図

食事をして血糖が上がると、ブドウ糖が膵臓のβ細胞に入り、細胞の中のATPが増えます。ATPは、細胞膜にあるKATPチャネル(ATP感受性カリウムチャネル)を閉じます。チャネルが閉じると、細胞膜の電位が変わって(脱分極)Ca²⁺が細胞に入り、インスリンが分泌されます(上の図の01。Proks et al. Curr Pharm Des. 2006;12:485-501、Pipatpolkai et al. Nat Rev Endocrinol. 2020;16:378-393の総説)。

SU薬は、KATPチャネルのSUR1(スルホニルウレア受容体)に結合して、チャネルを閉じます。総説(Pipatpolkai et al. 2020。主題はKATPチャネルの遺伝子変異と新生児糖尿病)は、SU薬とグリニド薬は、ATPと関係のない経路でチャネルを閉じる、と書いています。チャネルが閉じたあとは、ふだんと同じ流れでインスリンが出ます(上の図の02)。

糖尿病診療ガイドライン2024(第5章 Q5-2)は、インスリン分泌促進系の薬を、DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)阻害薬やGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬などの「血糖依存性のインスリン分泌促進薬」と、SU薬とグリニド薬の「血糖非依存性のインスリン分泌促進薬」に分けています。Q5-11は、SU薬は膵β細胞膜上のSU受容体に結合し、血糖非依存性にインスリン分泌を促進させ、空腹時血糖値も食後血糖値も低下させる、と書いています。「血糖非依存性」という言い方は、3剤の添付文書には出てきません。オイグルコンの添付文書は、作用機序を「主にATP依存性K⁺チャネルの遮断による」と書いています(18.1)。

副作用はなぜ起きる?

SU薬を使うと、チャネルが閉じて血糖非依存性(ガイドライン)にインスリン分泌が促され、低血糖が起こり遷延することがある道すじ、体重が増えることがある道すじ(メトホルミン追加試験のメタ解析で関連、ガイドラインは食事・運動療法がおろそかだと増えやすいとする)、糖尿病用薬との併用で血糖降下作用が増強して低血糖症状が起こることがある道すじ、アゾール系抗真菌剤との併用で肝代謝や血中蛋白との結合が抑制されて低血糖症状が起こることがある道すじ(蛋白結合の抑制はアマリールとオイグルコンの記載)を並べた図

低血糖

なぜ? 上の図の01の道すじです。3剤の添付文書の1.警告は、「重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがある」です。ガイドライン2024は、低血糖リスクの高いSU薬とグリニド薬は特に注意が必要(Q5-2)、低血糖を起こしやすいとされている(Q5-11)、としています。シタグリプチン(ジャヌビア)の添付文書は、インスリン分泌の促進を「血糖値依存的に」と書きます(18.1)が、SU薬の3剤には、この条件の記載がありません(いずれも2026年10月2日に確認)。

3剤の添付文書は、低血糖のおそれのある状態に、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足、飢餓状態を挙げています(アマリール9.1.1など)。グリミクロンのIFは、低血糖の誘因として、薬剤の過量投与、摂食量低下、腎機能低下、下垂体や副腎の機能低下、低血糖を増強する他剤の併用を挙げ、一定量の経口血糖降下剤を服用中であっても、摂食量低下以下の条件では低血糖をもたらす危険性がある、としています(8.2の解説)。

アマリールのIFは警告の解説で、SU剤による低血糖は遷延しやすく、グルコースの静脈内注射などでいったん回復しても再び低血糖に陥ることが少なくない、としています。また、SU剤の効果は個人差が大きく、予想以上に患者の血糖が低下することがあるので注意すること、とも書いています。アマリールとオイグルコンの11.1.1は、投与中止後、臨床的にいったん回復したと思われる場合でも数日間は再発することがある、と書いています。グリミクロンの11.1.1には、この文がありません。

高齢者と、腎機能や肝機能の低下した人にも、3剤とも注意があります。高齢者は低血糖があらわれやすく(9.8)、腎機能障害のある人も肝機能障害のある人も低血糖を起こすおそれがあります(9.2.2、9.3.2。重篤な場合は禁忌)。ガイドライン2024は、特に高齢者や腎機能低下者で重症低血糖の発現頻度が高いとする報告もあり注意が必要(Q5-2)、高齢者では低血糖のリスクが高いため、グリクラジドは20mg、グリメピリドは0.5mgと低用量からの投与開始が勧められる(Q5-11)、としています。グリミクロンのIFは、SU剤は肝で代謝され主に腎から排泄されるので、重篤な肝または腎機能障害のある人では障害の進展や予期していなかった副作用の招来が予想される、また、このような状態の人はSU剤による低血糖も起こしやすいとされている、と書いています(2.2の解説)。高齢者については、明らかな腎疾患がなくても腎機能が年齢とともに低下しているなど、種々の代謝系機能が低下しており、薬物(経口血糖降下剤、インスリン注射)の使用により低血糖が起こりやすいといわれている、としています(9.8の解説)。

どんな症状? アマリールとオイグルコンの11.1.1は、初期症状を脱力感、高度の空腹感、発汗とし、ほかに動悸、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣を挙げています。徐々に進行する低血糖では、精神障害や意識障害が主になることがあります。糖尿病治療ガイド2018-2019は、高齢者の低血糖による異常行動は認知症と間違われやすい、としています。β遮断剤を使っていると、低血糖のときの交感神経症状が出にくくなることが、3剤の併用注意に書かれています(グリミクロンは、機序は不明だが考えられている、という書き方)。

どう防ぐ・どう伝える? 添付文書は、少量から始めて血糖と尿糖を定期的に検査すること、高所作業や自動車の運転をしている人に注意することを書いています(8.)。患者さんとその家族への説明は、アマリール(8.1)とグリミクロン(8.3)が「低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること」、オイグルコン(8.3)が「低血糖に関する注意について、患者及びその家族に十分徹底させること」です。

下痢、嘔吐などの胃腸障害のある人と、重篤な肝機能障害または腎機能障害のある人は、低血糖を起こすおそれがあるため禁忌です。禁忌はほかにもあります。重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、インスリン依存型糖尿病、重症感染症、手術前後、重篤な外傷、妊婦、成分またはスルホンアミド系薬剤への過敏症の既往歴です。オイグルコンは、ボセンタン水和物を投与中の人も禁忌です。

低血糖症状が出たときは、糖質を含む食品をとり、α-グルコシダーゼ阻害剤を併用しているときはブドウ糖をとります(3剤の11.1.1)。糖尿病治療ガイド2018-2019は、ブドウ糖10gか、ブドウ糖を含む飲料150〜200mLをとり、約15分後も続くなら同じ量をもう一度とる、としています。ブドウ糖を含まない飲料もあるので、成分を確認しておきます。いったん回復しても、再発しないか注意が必要です。

食事がとれない日は、糖尿病診療ガイドライン2024(第20章)が、SU薬とグリニド薬は、食事摂取不良である場合は調整が必要なので、医療機関に連絡することが望ましく、診察時の状態により中止か減量を判断する、と書いています。

高齢者については、厚生労働省の指針(高齢者の医薬品適正使用の指針、2018年)が、グリベンクラミドなど血糖降下作用の強いSU薬は避けるべきで、ほかのSU薬もきわめて慎重に使い、可能な限りDPP-4阻害薬への代替を考慮する、と書いています。

体重増加

なぜ? 上の図の02の道すじです。メトホルミンで血糖が十分に下がらない2型糖尿病の人に別の薬を追加した、ランダム化比較試験27件(11,198人)のメタ解析(Phung et al. JAMA. 2010;303:1410-8)があります。試験の期間は平均32週(12〜52週)です。チアゾリジン薬、SU薬、グリニド薬は体重増加と関連し(範囲1.77〜2.08kg)、GLP-1アナログ、α-グルコシダーゼ阻害薬、DPP-4阻害薬は体重減少か体重変化なしと関連していました。

体重が増える理由について、グリメピリドの総説(板東 et al. 日薬理誌. 2001;118:59-67。著者はアベンティス ファーマ社のマーケティング部所属)は、SU薬は強力なインスリン分泌促進作用のため、体重増加、低血糖などの問題点が指摘されている、と書いています。

どんな症状? 体重が増えることがあります。3剤の添付文書の副作用の項(11.2)には、体重増加が載っていません。

どう防ぐ・どう伝える? 添付文書には防ぎ方の記載がありません。糖尿病診療ガイドライン2024(Q5-11)は、SU薬では食事療法、運動療法がおろそかになると体重が増加しやすい、としています。

低血糖を起こしやすくする併用薬

なぜ? 上の図の03と04の道すじです。3剤の添付文書は、併用で血糖降下作用が増強し、低血糖症状が起こることがあるとして、併用注意の薬を載せています(10.2)。

併用する薬(例) 添付文書に書かれた理由 記載のある薬
糖尿病用薬(インスリン製剤、ビグアナイド系、チアゾリジン系、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤など) 血糖降下作用が増強される 3剤
アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール、フルコナゾール) 肝代謝の抑制。アマリールとオイグルコンは、血中蛋白との結合の抑制も書いている 3剤
サルファ剤(スルファメトキサゾール) 血中蛋白との結合の抑制、肝代謝の抑制(3剤)。腎排泄の抑制はアマリールとオイグルコン 3剤
サリチル酸剤(アスピリン) 血中蛋白との結合の抑制、サリチル酸剤の血糖降下作用 3剤
β遮断剤(プロプラノロールなど) アドレナリンによる低血糖からの回復の抑制、低血糖に対する交感神経症状の抑制。プロプラノロールなどの非選択性薬剤は避けることが望ましい 3剤

ほかの併用注意は、くわしい条件に書きました。

どんな症状? 低血糖の症状と同じです。

どう防ぐ・どう伝える? 3剤の添付文書は、併用するときは血糖値などの状態を十分に観察し、必要に応じて本剤または併用薬剤の投与量を調節することを求めています。シタグリプチン(ジャヌビア)の添付文書は、SU薬と併用すると低血糖のリスクが増すため、SU薬の減量を検討する、と書いています(10.2)。

日本糖尿病学会の薬剤の安全使用に関する委員会のRecommendation(インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation 第2版、2024年5月18日)は、SU薬治療中にDPP-4阻害薬を追加した高齢者や腎機能低下者(軽度の腎機能低下者を含む)で重症低血糖が散見されたとして、これらの人では、SU薬を減量したうえでDPP-4阻害薬を追加することを必須としています。グリメピリドを2mg/日、グリベンクラミドを1.25mg/日、グリクラジドを40mg/日を超えて使っている場合は、それぞれ2mg/日以下、1.25mg/日以下、40mg/日以下に減らしてから始めます。添付文書(量の限定なし)とは別の資料です。

機序とは別に注意する副作用

血液と肝臓の重大な副作用(無顆粒球症、肝機能障害、黄疸など)、妊婦への投与(3剤とも禁忌)、長期使用での心臓・血管系の死亡率の報告(3剤の15.1.1)があります。くわしくは、くわしい条件に書きました。

グリニド薬とは、どう違う?

グリニド薬のナテグリニド(ファスティック)とミチグリニド(グルファスト)も、インスリンの分泌を促します。2剤の添付文書は、作用点がSU薬と同じで、SU薬との相加・相乗の臨床効果と安全性が確認されていないので併用しない、と書いています(ファスティック8.1、グルファスト8.4)。ガイドライン2024は、グリニド薬も「血糖非依存性」に分けています。

項目 SU薬(3剤) グリニド薬(ファスティック、グルファスト)
1.警告 3剤とも「重篤かつ遷延性の低血糖」 2剤とも、警告の項がない
下痢・嘔吐等の胃腸障害 3剤とも禁忌 2剤とも禁忌の項になく、低血糖を起こすおそれのある状態(9.1.2)に挙げられている
体重増加 副作用の項に載っていない 2剤とも、0.1〜5%未満の副作用に載っている

GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬とは、どう違う?

ガイドライン2024は、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬を「血糖依存性」に分類しています。ジャヌビアの添付文書は、血糖値依存的にインスリン分泌促進作用を増強する、と書いています(18.1)。作用機序は、シリーズのGLP-1受容体作動薬の記事でも図にしています。

項目 SU薬 GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬
ブドウ糖との関係 ガイドラインは血糖非依存性に分類。チャネルは、ATPを介さずに閉じる ガイドラインは血糖依存性に分類。ジャヌビアは「血糖値依存的に」(18.1)、デュラグルチド(トルリシティ)はグルコースが低い条件では作用を示さない(18.3、in vitro)
体重(メタ解析) SU薬を含む3群が体重増加と関連(1.77〜2.08kg) GLP-1アナログとDPP-4阻害薬は、体重減少か体重変化なしと関連

体重の行は、メトホルミンに追加した試験のメタ解析です。

同じ薬効群の薬は、どう違う?

一般名(商品名) 用量(添付文書6.) 添付文書で確認した特徴
グリメピリド(アマリール0.5mg・1mg・3mg錠) 1日0.5〜1mgから開始。維持量は通常1日1〜4mg、最高6mg 低血糖4.08%
グリクラジド(グリミクロン錠40mg、HA錠20mg) 通常成人で1日40mgから開始。維持量は通常1日40〜120mg、160mgを超えない 低血糖1.9%(使用成績調査を含む)。11.1.1に、中止後に数日間再発することがあるという文がない
グリベンクラミド(オイグルコン錠1.25mg・2.5mg) 1日1.25〜2.5mgを経口投与し、必要に応じて増量。最高10mg 低血糖8.9%。ボセンタン水和物の併用が禁忌

低血糖の頻度は、添付文書の重大な副作用の項の値です。調査の種類や対象が違うので、3剤の間で直接は比べられません。ガイドライン2024(Q5-11)は、SU薬は低血糖を起こしやすいとされ、特にグリベンクラミドはその頻度が高い、としています。

患者さんには、どう伝える?

  • 低血糖の症状:「冷や汗、手のふるえ、強い空腹感が出たら、低血糖かもしれません。ブドウ糖か、ブドウ糖入りと書いてある飲み物をとってください。」
  • 食事がとれない日:「食事がとれない日や、下痢・嘔吐があるときは、先生に連絡して指示をもらってください。」
  • 運転や高所の作業:「低血糖が長く続くことがあるので、運転や高いところでの作業は気をつけてください。」
  • ほかの薬が増えたとき:「抗菌薬や水虫の薬など、新しい薬が出たときは、糖尿病の薬を飲んでいると伝えてください。」
くわしい条件

機序とは別に注意する副作用

  • 血液・肝臓:アマリールは、汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少、肝機能障害、黄疸、再生不良性貧血を重大な副作用に載せています(いずれも頻度不明)。グリミクロンは、無顆粒球症、肝機能障害、黄疸(いずれも0.1%未満)です。オイグルコンは、無顆粒球症、溶血性貧血、肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)です。
  • 心臓・血管系の死亡率:3剤の15.1.1は、スルホニルウレア系薬剤(トルブタミド1日1.5g)を長期間続けると、食事療法のみの場合より、心臓・血管系障害による死亡率が有意に高かったとの報告がある、と書いています。
  • 妊婦:3剤とも禁忌です。SU薬は胎盤を通過することが報告されていて、新生児の低血糖と巨大児が認められています(9.5)。
  • アンジオテンシン変換酵素阻害剤:インスリンまたは経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与すると、低血糖が起こりやすいとの報告があります(3剤の15.1.2)。

そのほかの併用注意(血糖降下作用の増強)

  • クラリスロマイシン(3剤とも。機序不明。アマリールの10.2は、ほかのSU薬の血中濃度を上昇させたとの報告がある、と書いています)
  • ロキソプロフェンなどのプロピオン酸系消炎剤(血中蛋白との結合の抑制)、シプロフロキサシン、レボフロキサシン(機序不明)。アマリールとオイグルコンのみ
  • ワルファリン、クロラムフェニコール、プロベネシド、フィブラート系薬剤、テトラサイクリン系抗生物質、モノアミン酸化酵素阻害剤、シベンゾリン、ジソピラミド、ピルメノール(3剤とも)
  • アマリールは主にCYP2C9で代謝され、オイグルコンはCYP2C9とCYP3A4で代謝されます(10.の序文)

血糖降下作用を弱める薬

アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、利尿剤、フェニトイン、リファンピシンなどです。高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあります(3剤の10.2)。

低血糖の頻度と、半減期

  • 低血糖の頻度:アマリール4.08%、グリミクロン1.9%(使用成績調査を含む)、オイグルコン8.9%(各11.1.1)。アマリールのIFの使用成績調査では、3,409例中49例(1.44%)です
  • 半減期:アマリール1.47時間(健康成人、1mg)、グリミクロン8.6時間(健康成人5例、40mg)と12.3時間(糖尿病患者8例、40mg)、オイグルコン2.7時間(糖尿病患者、2.5mg)、ファスティック1.1〜1.3時間(健康成人男性)、グルファスト約1.2時間(健康成人男性)。対象も用量も違う値なので、薬どうしの半減期は直接は比べられません。

グリニド薬の飲むタイミングと、低血糖の頻度

SU薬は1日1〜2回(アマリールとグリミクロンは朝または朝夕、オイグルコンは1回なら朝食前または後)、グリニド薬は毎食直前(ファスティックは毎食前10分以内、グルファストは毎食直前5分以内)です。ファスティックの添付文書は、食後に飲むと速やかな吸収が得られず効果が減弱し、食前30分に飲むと、速やかに薬効を発現するため食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある、と書いています(7.1)。低血糖は、ファスティックが0.1〜5%未満、グルファストが6.6%(低血糖症状として報告された発現割合)です。

体重増加と症状の書き方

アマリールのIFの副作用一覧には、承認時と使用成績調査の合計4,364例のうち、体重増加が5例(0.11%)あります。低血糖の症状は、グリミクロンの11.1.1では「動悸」が「心悸亢進」と書かれています。

アマリールの作用の特徴

アマリールのIFは、ラットβ細胞腫を使ったin vitroの試験で、グリメピリドのSU受容体への結合親和性はグリベンクラミドの約1/5(IC50は81 nmol/Lと16 nmol/L)だった、としています。別のin vitro試験(ラットβ細胞腫とRINm5F細胞)では、IC50はグリベンクラミドのおよそ3倍で、結合と解離はグリベンクラミドより速かった、としています。添付文書は、in vitro試験で糖輸送担体の活性化等の関与が示されている(18.1)、筋肉・脂肪細胞を用いたin vitro試験で膵外作用の関与が報告されている(18.2.2)、と書いています。総説(板東 et al. 2001。著者はアベンティス ファーマ社のマーケティング部所属)は、グリメピリドはグリベンクラミドより低血糖が少なく、体重を増加させないとの報告もある、としています。

過量投与のときの処置

アマリールとオイグルコンの13.2.1は、飲食が可能な場合は、ブドウ糖(5〜15g)または10〜30gの砂糖の入った吸収の良いジュース、キャンディなどを摂取させる、と書いています。意識障害がある場合は、ブドウ糖液(50%20mL)を静注します。

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ご利用にあたって この記事は、薬剤師など医療従事者に向けて、添付文書や公開資料をもとに一般的な情報をまとめたものです。個々の患者さんへの投与や治療の判断は、最新の添付文書と、医師・薬剤師の判断に従ってください。内容の正確さには注意を払っていますが、正確性や最新性を保証するものではありません。この記事の情報を利用したことで生じたいかなる損害についても、当ブログは責任を負いかねます。

よくある質問

SU薬の3剤の添付文書に、「血糖値依存的に」の記載はありますか?

3剤の添付文書には、この条件の記載がありません。ジャヌビアの添付文書は「血糖値依存的に」と書いています。糖尿病診療ガイドライン2024は、SU薬を「血糖非依存性のインスリン分泌促進薬」に分類しています。不規則な食事摂取や食事摂取量の不足は、3剤の添付文書で、低血糖を起こすおそれのある状態に挙げられています。

SU薬の低血糖は、なぜ長引くのですか?

理由は、確認した添付文書(3剤)と、アマリールとグリミクロンのIFに書かれていません。3剤の警告は「重篤かつ遷延性の低血糖」です。アマリールとオイグルコンの11.1.1は、投与中止後、いったん回復したと思われる場合でも数日間は再発することがある、と書いています。

SU薬とグリニド薬は、いっしょに使えますか?

ファスティックとグルファストの添付文書は、作用点がSU薬と同じで、SU薬との相加・相乗の臨床効果と安全性が確認されていないので、併用しない、と書いています。

薬の使い分けをPDFにまとめています。気になる方は薬の使い分けPDFもどうぞ。

出典・更新日

更新日:2026年10月2日。添付文書は、いずれも2026年10月2日に確認しました。

  • アマリール0.5mg錠/1mg錠/3mg錠 添付文書(2024年3月改訂、第2版)。KEGG MEDICUS japic_code=00058336
  • グリミクロンHA錠20mg/グリミクロン錠40mg 添付文書(2025年4月改訂、第3版)。KEGG MEDICUS japic_code=00050123
  • オイグルコン錠1.25mg/2.5mg 添付文書(2025年2月改訂、第2版)。KEGG MEDICUS japic_code=00004542
  • ファスティック錠30/90 添付文書(2023年8月改訂、第2版。KEGG MEDICUS japic_code=00045653)
  • グルファスト錠5mg/10mg 添付文書(2025年12月改訂、第3版。KEGG MEDICUS japic_code=00066275)
  • ジャヌビア錠 添付文書(2026年6月改訂、第5版)。KEGG MEDICUS japic_code=00061993:10.2、18.1
  • デュラグルチド(トルリシティ皮下注0.75mgアテオス) 添付文書(2026年5月改訂、第11版):18.3(本サイトのGLP-1受容体作動薬の記事で確認した内容)
  • アマリール錠 インタビューフォーム(2024年3月改訂、第25版)。JAPIC IF00006923
  • グリミクロン錠 インタビューフォーム(2025年4月改訂、第25版)。JAPIC IF00003536:警告・禁忌・8.2・9.8の解説
  • 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024. 第5章「血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」Q5-2、Q5-11、第20章「糖尿病における急性代謝失調・シックデイ(感染症を含む)」Q20-8
  • 日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病治療ガイド2018-2019. 文光堂. 7章「低血糖およびシックデイ」(学会サイトで公開されている章)
  • 日本糖尿病学会 薬剤の安全使用に関する委員会. インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation 第2版. 2024年5月18日
  • 厚生労働省. 高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編). 2018年5月. 別表1 E.糖尿病治療薬
  • Phung et al. JAMA. 2010;303:1410-8(メタ解析)
  • Pipatpolkai et al. Nat Rev Endocrinol. 2020;16:378-393(総説)
  • Proks et al. Curr Pharm Des. 2006;12:485-501(総説)
  • 板東 et al. 日薬理誌. 2001;118:59-67(総説。著者はアベンティス ファーマ社のマーケティング部所属)

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