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DOAC(直接経口抗凝固薬)|図解でわかる作用機序 副作用はなぜ起きる?

ひゃくさん

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どーも、病院薬剤師のひゃくさんです。直接経口抗凝固薬(DOAC)の副作用がなぜ起きるのかを、作用機序の図からたどります。主な出典は、エリキュース、リクシアナ、イグザレルト、プラザキサの添付文書と、プラザキサのインタビューフォーム、中和薬2剤(プリズバインド、オンデキサ)の添付文書です。

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どんな薬? 血液が固まる流れの、第Xa因子かトロンビンをふさぐ飲む抗凝固薬です。ダビガトランはトロンビン、ほかの3剤はXa因子をふさぎます。

副作用はなぜ起きる? 血栓ができにくくなるので、出血が起こることがあります。腎機能が低い人や一部の併用薬では、血中濃度が上がって出血の危険性が増すおそれがあります。

何に気をつける? 出血の徴候、腎機能、体重、年齢、併用薬です。減量の基準は薬ごとに違うので、各剤の添付文書で確認します。

DOACは、どうやって効く?

第Xa因子がプロトロンビンをトロンビンに変え、トロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに変えて血栓ができる流れと、Xa阻害薬は第Xa因子を、ダビガトランはトロンビンをふさいで血栓ができにくくなることを、ふだんと薬を飲んだときで比べた図

上の図のとおり、血液が固まる流れには、第Xa因子とトロンビン(第IIa因子)という2つの酵素が出てきます。第Xa因子はプロトロンビンをトロンビンに変えます。トロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに変えます。DOACは、この2か所のどちらかをふさぐ薬です。

  • 第Xa因子阻害薬: アピキサバン(エリキュース)、エドキサバン(リクシアナ)、リバーロキサバン(イグザレルト)。エリキュースの添付文書は、外因性と内因性の血液凝固経路の収束点である第Xa因子を阻害することで、プロトロンビンからトロンビンへの変換を抑制する、と書いています。
  • トロンビン阻害薬: ダビガトラン(プラザキサ)。有効成分ダビガトランエテキシラートの活性代謝物であるダビガトランが、トロンビンの活性部位に結合し、フィブリノゲンをフィブリンに変えるトロンビンの触媒反応を阻害します(18.1)。

ワルファリンは、ビタミンK依存性の凝固因子(プロトロンビン、第VII、第IX、第X因子)の生合成を抑えます(ワーファリン18.1)。

副作用はなぜ起きる?

DOACを飲んだあと、血栓ができにくくなって出血が起こる道すじと、腎機能が低い人や、併用薬がP糖蛋白やCYP3A4を阻害した人で血中濃度が上がる道すじ、抗血栓作用が重なる薬を併用した人の道すじの4本で、出血の危険性が増すおそれがあることを示した図

上の図は、出血が起こる道すじを4つに分けています。1本目は、血栓ができにくくなることから起こる出血です。2〜4本目は、腎機能、併用薬による阻害、作用が重なる薬で、出血の危険性が増すおそれがある道すじです。

出血

なぜ? 上の図のとおり、DOACは血栓ができる流れを止める薬です。4剤の添付文書は、警告に出血を書いています。エリキュース、イグザレルト、リクシアナは「死亡に至るおそれがある」、プラザキサは「死亡例が認められている」と書いています。4剤とも警告に、出血リスクを正確に評価できる指標は確立されていない、とあります。

どんな症状? 患者さんが気づきやすいのは、鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、血便です。4剤とも、これらの異常な出血があれば医師に連絡するよう指導する、と書いています(エリキュース8.2、リクシアナ8.3、イグザレルト8.3、プラザキサ8.4)。重い出血は、消化管出血(イグザレルトは胃腸出血など)と頭蓋内出血が、重大な副作用に載っています。

どう防ぐ・どう伝える?

  • 血液凝固の検査値だけでなく、出血や貧血の徴候を観察します(4剤の警告)。
  • 患者さんの判断で服用を中止しないよう服薬指導します(エリキュース、リクシアナ、プラザキサ)。
  • 出血している患者さんは禁忌です。エリキュースは「臨床的に問題となる出血症状のある患者」、プラザキサは出血症状・出血性素因・止血障害のある患者です。禁忌はほかにもあります(あとの表の下を参照)。
くわしい条件

通常の凝固能検査

プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)などの通常の凝固能検査について、エリキュースとリクシアナは、薬効や抗凝固能をモニタリングする指標とはならない、と書いています。イグザレルトは、PT-INRは標準化された指標でなく、aPTTなどはモニタリング指標として推奨されない、と書いています。プラザキサは、aPTTは出血している患者では過度の抗凝固作用を判断する目安となる可能性がある、と書いています(8.8)。

重大な副作用の出血の頻度

各添付文書の記載です。頻度は添付文書ごとに試験が違います。エリキュースは消化管出血0.6%、眼内出血0.3%、頭蓋内出血は頻度不明です。リクシアナは消化管出血1.3%、頭蓋内出血0.3%、眼内出血0.2%です。イグザレルトは直腸出血1.25%、胃腸出血0.74%、上部消化管出血0.36%、頭蓋内出血0.09%などです。プラザキサは消化管出血1.6%、頭蓋内出血は頻度不明です。

出血の危険が高い患者

エリキュース(9.1.1)は、活動性の潰瘍性消化管疾患、血小板減少症、活動性悪性腫瘍、出血性脳卒中の既往、コントロール不良の重度の高血圧症などを挙げています。プラザキサは、消化管出血の既往や上部消化管の潰瘍の既往のある患者で、出血の危険性が増大するおそれがあると書いています(9.1.1)。リクシアナとイグザレルトにも、出血の危険が高い患者の列挙があります(9.1.1)。エリキュース、リクシアナ、イグザレルトは、低体重の患者(9.1.2)でも、出血の危険性が増大するおそれがあると書いています。

腎機能・体重・年齢で減量が決まっているのはなぜ?

なぜ? 添付文書は、血中濃度が上がると出血の危険性が増す、という理由を書いています。リクシアナは、腎臓を介して排泄されるので、腎機能障害のある患者では血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある、と書いています(9.2.1)。プラザキサも、主に腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある、と書いています(8.2)。エリキュースの減量基準(7.1)は、出血のリスクが高く、血中濃度が上昇するおそれがあるため、と書いています。年齢と体重は、剤ごとに理由の書き方が違います。

どんな症状? 出血と同じです。

どう防ぐ・どう伝える?

  • プラザキサは、投与前に必ず腎機能を確認し、投与中も適宜、腎機能検査を行います。腎機能の悪化が認められた場合は、投与の中止や減量を考慮します(8.2)。
  • 減量の基準となる指標は、薬ごとに違います。腎機能の基準は、プラザキサ、イグザレルト、リクシアナはクレアチニンクリアランス(CLcr)です。エリキュースは、年齢、体重、血清クレアチニンの3項目です。リクシアナは、体重60kgが通常用量の境目です。表で比べます。
  • エリキュースの減量は、3項目のうち2つ以上に当たるときです。血清クレアチニンが1.5mg/dL未満でも、80歳以上で体重60kg以下なら2項目に当たり、1回2.5mg 1日2回になります。
くわしい条件

腎機能の禁忌

エリキュースは、心房細動の効能で、腎不全(CLcr 15mL/min未満)が禁忌です(静脈血栓塞栓症の効能ではCLcr 30mL/min未満)。減量の基準は血清クレアチニンの値で、同じ薬で指標が分かれています。リクシアナは、心房細動などの効能で、CLcr 15mL/min未満が禁忌です。

腎臓から排泄される割合

添付文書の記載は、薬ごとに測り方が違います。プラザキサは、14C標識ダビガトラン(活性代謝物)を静脈内投与したとき、168時間後までに投与量の85%が尿中に排泄されました(外国人データ)。イグザレルトは、静脈内投与で投与量の42%が未変化体のまま腎排泄されました。エドキサバンは、静脈内投与で全身クリアランスの約50%が腎クリアランスでした。アピキサバンは、未変化体の尿中排泄が全身クリアランスの約27%を占めました(外国人データ)。

高齢者の記載

プラザキサは、出血の危険性が高いと判断される患者のうち、70歳以上や消化管出血の既往のある患者を、110mg 1日2回の考慮の対象に挙げています(7.2)。リクシアナは、非弁膜症性心房細動で、80歳以上を目安とする高齢の患者のうち、出血性素因を1つ以上有し、かつ通常用量や他の経口抗凝固剤の承認用量では出血リスクのため投与できない場合に、有益性と出血リスクを考慮して適否を慎重に判断し、投与する場合は15mgを1日1回にすることを考慮する、と書いています(7.3)。イグザレルトは、非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第III相試験で、75歳以上の患者は75歳未満の患者と比較し、重大な出血及び重大ではないが臨床的に問題となる出血の発現率が高かった、と書いています(9.8)。

併用薬が血中濃度を上げる(P糖蛋白・CYP3A4)

なぜ? 4剤とも、P糖蛋白の基質です。エリキュースはCYP3A4/5で、イグザレルトはCYP3A4とCYP2J2で、主に代謝されます。併用薬がこれらを阻害すると、DOACの血中濃度が上がるおそれがあります。リクシアナは、併用薬がP糖蛋白を阻害することで、リクシアナのバイオアベイラビリティが上がると考えられる、と書いています(10.2)。

どんな症状? 出血のリスクが増すおそれがあります。

どう防ぐ・どう伝える? 併用禁忌があるのは、プラザキサとイグザレルトです。エリキュースとリクシアナには、併用禁忌の項はありません。対応は剤ごとに違います(くわしい条件)。

  • プラザキサ: イトラコナゾール(経口剤)は併用禁忌です(2.6、10.1)。P糖蛋白阻害剤(経口剤)を併用する患者では、1回110mg 1日2回を考慮します(7.1)。ベラパミルを併用開始するときは、開始から3日間、ベラパミルの服用の2時間以上前に本剤を服用させます(10.2)。
  • イグザレルト: 併用禁忌は次の薬です(2.6〜2.10)。リトナビルを含有する製剤、ダルナビル、ホスアンプレナビル、コビシスタットを含有する製剤、イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール(いずれも経口または注射剤)、エンシトレルビル、ロナファルニブ。
くわしい条件

エリキュースの併用

エリキュースは、併用薬がCYP3A4とP糖蛋白を同時に強力に阻害するため、エリキュースの代謝と排出が阻害されると考えられる、と書いています。併用禁忌の項はありません。アゾール系抗真菌剤(フルコナゾールを除く)とHIVプロテアーゼ阻害剤は、減量(1回5mgなら2.5mg)を考慮するか、併用が適切と考えられない患者には併用しません(10.2)。

誘導薬

リファンピシンなどの誘導薬は、逆に血中濃度を下げるおそれがあります。エリキュースとイグザレルトは、リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ含有食品を併用注意に挙げています。プラザキサもP糖蛋白誘導剤を併用注意に挙げています。リクシアナの10.2には、誘導薬の行はありません。

リクシアナの併用薬の表(7.2)

併用禁忌の項はありません。キニジン硫酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩、エリスロマイシン、シクロスポリンの併用では、30mgを1日1回投与します。アジスロマイシン、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ジルチアゼム、アミオダロン塩酸塩、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)等は、治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、併用が適切と判断される患者にのみ併用します。併用する場合は、30mgを1日1回投与することを考慮します。この表は、心房細動、静脈血栓塞栓症の治療・再発抑制、慢性血栓塞栓性肺高血圧症の効能にかかる記載です。下肢整形外科手術の効能では、P糖蛋白阻害作用を有する薬剤の併用は15mg 1日1回への減量を考慮する、と別に書かれています(7.5)。

出血のしやすさが重なる薬との併用

なぜ? 抗血小板薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)、ほかの抗凝固薬、血栓溶解剤との併用で、出血の危険性が増すおそれがあります。リクシアナは、相互に抗血栓作用を増強することが考えられる、と書いています(10.2)。イグザレルトは、抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により、相加的に出血傾向が増強される、と書いています。エリキュースとプラザキサは、本剤は抗凝固作用を有するため、併用すると出血を助長するおそれがある、と書いています。

どんな症状? 出血と同じです。

どう防ぐ・どう伝える?

  • 抗血小板薬2剤との併用は、エリキュース(8.3)、イグザレルト(8.4)、リクシアナ(10.2)の添付文書が、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ併用する、と書いています。プラザキサ(10.2)は、ヘモグロビン2g/dL以上の減少を示すような大出血の危険性が増大することがある、と書いています。
くわしい条件

SSRIとSNRI

選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)は、リクシアナ、イグザレルト、プラザキサが併用注意に挙げています。プラザキサは、機序は不明、と書いています。

ダビガトランの消化器症状

なぜ? 食道については、プラザキサを服用したときにカプセルが食道に滞留したことで食道潰瘍を呈したと考えられる症例が見られた、とインタビューフォームが書いています(8.13の解説)。

どんな症状? その他の副作用(11.2)で、1%以上の欄に、消化不良(4.7%)、胃食道炎(3.1%)、悪心(2.8%)、腹部不快感(2.2%)、上腹部痛(1.9%)などが載っています。重大な副作用には、食道潰瘍と食道炎があります(11.1.5)。

どう防ぐ・どう伝える?

  • 本剤を速やかに胃に到達させるため、十分量(コップ1杯程度)の水で服用します(8.13)。
  • 嚥下困難、嚥下痛、胸骨後部の痛み、高度の持続する胸やけがあれば、担当医に相談するよう指導します(8.13)。
  • 吐血や血便があれば、投与を中止します(8.3)。
  • カプセルは開けずに服用するよう指導します(14.1.3)。
くわしい条件

プラザキサの消化器症状の頻度

1%以上の欄(11.2)は、消化不良(4.7%)、胃食道炎(3.1%)、悪心(2.8%)、腹部不快感(2.2%)、上腹部痛(1.9%)、心窩部不快感(1.6%)、嘔吐(1.3%)、消化管潰瘍(1.3%)です。食道潰瘍と食道炎は頻度不明です。

ほかの3剤の消化器症状

エリキュースは、消化不良を1%以上の欄に載せています。イグザレルトとリクシアナにも、悪心、下痢、腹痛などの記載があります。頻度は添付文書ごとに試験が違います。食道潰瘍と食道炎を重大な副作用に挙げているのは、確認した4剤の中ではプラザキサだけです。

酒石酸コア

プラザキサカプセルは、添加物の酒石酸コアにダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩をコーティングしたペレットを含みます。インタビューフォームは、ダビガトランエテキシラートの溶解度は酸性側で最も高く、酒石酸コアが吸収を高めるための製剤上の工夫である、と書いています。

出血が止まらないとき: 中和薬

生命を脅かす出血や止血困難な出血で中和が必要なときは、4剤とも中和薬の添付文書を必ず参照するよう書いています。中和薬は、DOACの種類で決まっています。

  • プリズバインド(イダルシズマブ): ダビガトランと結合するヒト化モノクローナル抗体フラグメント(Fab)で、ダビガトランの抗凝固作用を中和します(18.1)。ダビガトラン以外の抗凝固剤の中和には使いません(5.3)。
  • オンデキサ(アンデキサネット アルファ): ヒト第Xa因子の遺伝子組換え改変デコイタンパク質です。活性部位のセリンをアラニンに置換してあり、酵素活性はありません。アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバンに結合して、抗凝固活性を中和します(18.1)。この3剤以外の抗凝固剤の中和には使いません(5.2)。

プリズバインドは、ダビガトランの抗凝固作用を中和することにより血栓症のリスクが増加するため、止血後は速やかに適切な抗凝固療法の再開を考慮する、と書いています(8.2)。ダビガトランの再開は、プリズバインド投与から24時間後に可能です。オンデキサは、血栓塞栓症のリスクを低減するため、止血後はできる限り速やかに再開を考慮する、と書いています(8.2)。血栓塞栓症(虚血性脳卒中1.5%など)は、重大な副作用にも載っています(11.1.1)。

くわしい条件

オンデキサの用法(A法・B法)

A法は、400mgを30mg/分で静脈内投与し、続いて480mgを4mg/分で2時間静脈内投与します。B法は、800mgを30mg/分で投与し、続いて960mgを8mg/分で2時間投与します。どちらを使うかは、DOACの種類、最終投与時の1回投与量、最終投与からの経過時間で決まります(7.1)。最終投与から8時間以上たっていれば、DOACの種類と1回量にかかわらずA法です。8時間未満または不明のときは、アピキサバン2.5mg・5mgとリバーロキサバン2.5mgがA法です。アピキサバン10mg・不明、リバーロキサバン10mg・15mg・不明、エドキサバン(15mg、30mg、60mg、不明)はB法です。

ヘパリン抵抗性

オンデキサは、ヘパリン抵抗性を示すことがあります(8.3)。ヘパリンによる抗凝固が必要な手術や処置では、投与の要否を慎重に判断します。

機序とは別に注意する副作用

重大な副作用には、出血のほかに、間質性肺疾患(プラザキサは間質性肺炎)、肝機能障害、急性腎障害などが載っています。急性腎障害は、4剤とも「経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害があらわれることがある」と書き、血尿を認めるもの、腎生検で尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている、と続けています。プラザキサには、アナフィラキシーの記載もあります。

同じ薬効群の薬は、どう違う?

非弁膜症性心房細動の用法と、腎機能の禁忌を、添付文書の記載で比べます。効能が静脈血栓塞栓症などの場合は、用量も禁忌のCLcrも別に書かれています。

薬 阻害する相手と、通常の用法 減量の基準と、腎機能の禁忌
ダビガトラン(プラザキサ) トロンビン。1回150mgを1日2回。必要に応じて1回110mgを1日2回へ減量 110mgを考慮: CLcr 30-50mL/min、P糖蛋白阻害剤(経口剤)の併用、出血の危険性が高いと判断される患者のうち70歳以上と消化管出血の既往。禁忌: 透析患者を含む高度の腎障害(CLcr 30mL/min未満)
アピキサバン(エリキュース) 第Xa因子。1回5mgを1日2回 80歳以上、体重60kg以下、血清クレアチニン1.5mg/dL以上のうち2つ以上に当たると、1回2.5mgを1日2回。禁忌: 腎不全(CLcr 15mL/min未満。静脈血栓塞栓症の効能ではCLcr 30mL/min未満)
リバーロキサバン(イグザレルト) 第Xa因子。15mgを1日1回食後 CLcr 30〜49mL/minは10mgを1日1回。15〜29mL/minは適否を慎重に検討し、投与する場合は10mgを1日1回。禁忌: 腎不全(CLcr 15mL/min未満)
エドキサバン(リクシアナ) 第Xa因子。体重60kg以下は30mg、60kg超は60mgを1日1回 CLcr 30〜50mL/minは30mgを1日1回。15mL/min以上30mL/min未満は適否を慎重に判断し、投与する場合は30mgを1日1回。キニジン硫酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩、エリスロマイシン、シクロスポリンの併用でも30mg。禁忌: 腎不全(CLcr 15mL/min未満)

禁忌はほかにもあります。出血している患者のほか、イグザレルトは中等度以上の肝障害(Child-Pugh分類BまたはC)と妊婦も禁忌です。リクシアナは凝血異常を伴う肝疾患の患者が、エリキュースは血液凝固異常及び臨床的に重要な出血リスクを有する肝疾患患者が禁忌です。プラザキサは、脊椎・硬膜外カテーテルを留置している患者と抜去後1時間以内の患者なども禁忌です。投与前に、各剤の添付文書の「禁忌」を確認してください。

くわしい条件

1日の回数と食事

1日2回なのはプラザキサとエリキュース、1日1回なのはイグザレルトとリクシアナです。食事の指定があるのはイグザレルト(心房細動は15mgを1日1回食後)だけです。プラザキサは、服用直前にPTPシートから取り出すこと、アルミピロー包装のまま調剤することが望ましいことが、添付文書に書かれています(14.1.2)。

患者さんには、どう伝える?

  • 「血が固まるのを防ぐ薬です。鼻血、歯ぐきからの出血、青あざ、尿に血が混じる、血便があれば、すぐ連絡してください。」
  • 「自分の判断で飲むのをやめないでください。」
  • 「痛み止めや風邪薬を市販で買う前や、新しい薬が始まるときは、薬剤師に伝えてください。」
  • 「(プラザキサの場合)カプセルは開けずに、コップ1杯程度の水で飲んでください。胸のつかえや胸やけが続くときは、相談してください。」

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ご利用にあたって この記事は、薬剤師など医療従事者に向けて、添付文書や公開資料をもとに一般的な情報をまとめたものです。個々の患者さんへの投与や治療の判断は、最新の添付文書と、医師・薬剤師の判断に従ってください。内容の正確さには注意を払っていますが、正確性や最新性を保証するものではありません。この記事の情報を利用したことで生じたいかなる損害についても、当ブログは責任を負いかねます。

よくある質問

DOACの効き具合は、PT-INRで確認できますか?

エリキュースとリクシアナの添付文書は、プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)や活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)などの通常の凝固能検査は、薬効や抗凝固能をモニタリングする指標とはならない、と書いています。イグザレルトの添付文書は、PT-INRは標準化された指標でなく、aPTTなどはモニタリング指標として推奨されない、と書いています。プラザキサの添付文書は、aPTTは出血している患者では過度の抗凝固作用を判断する目安となる可能性がある、と書いています(8.8)。4剤とも警告に、出血リスクを正確に評価できる指標は確立されていないため、血液凝固の検査値だけでなく、出血や貧血の徴候を十分に観察する、とあります。

プラザキサのカプセルを開けて飲んでもいいですか?

添付文書は、カプセルを開けて服用しないよう指導すること、と書いています(14.1.3)。インタビューフォームは、内容物のみを服用すると、カプセルでの服用に比べて血中濃度が上昇するおそれがある、と書いています。

出血が止まらないとき、DOACを中和する薬はありますか?

あります。ダビガトラン(プラザキサ)にはイダルシズマブ(プリズバインド)、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバンにはアンデキサネット アルファ(オンデキサ)があります。それぞれ、対象のDOAC以外の抗凝固剤の中和には使いません。プリズバインドは、ダビガトランの抗凝固作用を中和することにより血栓症のリスクが増加するため、止血後は速やかに適切な抗凝固療法の再開を考慮する、と書いています(8.2)。オンデキサは、血栓塞栓症のリスクを低減するため、止血後はできる限り速やかに再開を考慮する、と書いています(8.2)。

薬の使い分けをPDFにまとめています。気になる方は薬の使い分けPDFもどうぞ。

出典・更新日

更新日:2026年10月2日。

  • エリキュース錠2.5mg・5mg 添付文書(2026年3月改訂、第9版)。KEGG MEDICUS japic_code=00061145:1.、2.、7.、8.、9.、10.、11.、18.1
  • リクシアナ錠15mg・30mg・60mg 添付文書(2025年11月改訂、第8版)。KEGG MEDICUS japic_code=00063167:1.、2.、6.、7.、8.、9.、10.、11.、16.5、18.1
  • イグザレルト錠 添付文書(2026年3月改訂、第10版)。KEGG MEDICUS japic_code=00060251:1.、2.、6.、7.、8.、9.、10.、11.、16.5、18.1
  • プラザキサカプセル75mg・110mg 添付文書(2025年11月改訂、第5版)。KEGG MEDICUS japic_code=00059342:1.、2.、7.、8.、9.、10.、11.、14.、16.5、18.1
  • プラザキサカプセル インタビューフォーム(2025年11月、第21版)。8.13・14.1.3の解説、XIII 製剤設計
  • プリズバインド静注液2.5g 添付文書(2025年12月改訂、第6版)。KEGG MEDICUS japic_code=00066527:4.、5.、6.、8.、11.、18.1
  • オンデキサ静注用200mg 添付文書(2025年11月改訂、第6版)。KEGG MEDICUS japic_code=00070274:4.、5.、6.、7.、8.、10.、11.、18.1
  • ワーファリン錠 添付文書(2025年11月改訂、第2版)。KEGG MEDICUS japic_code=00071123:18.1

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