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P-糖タンパク質(P-gp)の基質・阻害薬・誘導薬の代表薬

P-糖タンパク質基質・阻害薬・誘導薬
ひゃくさん

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どーも、病院薬剤師のひゃくさんです。国試では、ジゴキシンとベラパミルのように、P-糖タンパク質(P-gp)が関わる薬物相互作用が出ます。第110回と第111回にも出ました。厚生労働省の薬物相互作用ガイドライン(2018年)の表と添付文書をもとに、基質・阻害薬・誘導薬を「どこで働くトランスポーターか」の理屈で整理しました。覚えた内容は、必須問題チャレンジ(無料・登録なし)で確かめられます。

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P-gpとは? 薬を細胞の外へ押し出す排出トランスポーターです。小腸での吸収、腎臓の尿細管での分泌、脳への移行に関わります。

阻害されると? 基質の血中濃度が上がることがあります。国試では、ジゴキシンとベラパミルの組合せが出ました(第110回)。

誘導されると? 基質の血中濃度が下がることがあります。誘導剤の例は、リファンピシン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ含有食品などです(ダビガトランの添付文書)。

P-gpは、どこで何をしている?

P-gp(P-糖タンパク質、遺伝子名ABCB1)は、薬を細胞の外へ押し出す排出トランスポーターです。ガイドラインには、働く場所が3つ書かれています。

  • 小腸:消化管上皮細胞の管腔側に発現して、基質になる薬の消化管吸収を下げます。
  • 腎臓:尿細管分泌に関わります。ジゴキシンの添付文書には、尿中への排泄が「糸球体濾過とP糖蛋白質を介する尿細管分泌」によると書かれています(in vitro)。
  • 脳:中枢への移行に関わります。

この理屈から、相互作用は次の2通りに整理できます。

P-gpに起きること 基質の動き 血中濃度
阻害される 吸収が増える、排泄が減る 上がることがある
誘導される 吸収が減る、排泄が増える 下がることがある

基質の代表薬は?

ガイドラインの表2-3(in vivo典型基質)のうち、このあとの相互作用や過去問に出てくる薬です。薬効の欄は、国試の学習用に僕が付け加えました。ほかの基質は「くわしい条件」にあります。

一般名 薬効 補足
ジゴキシン 強心配糖体 添付文書に「本剤はP糖蛋白質の基質である」と記載
ダビガトランエテキシラート(プラザキサ) 直接トロンビン阻害薬(抗凝固薬) 添付文書に「本剤はP-糖蛋白の基質である」と記載
フェキソフェナジン 抗ヒスタミン薬 表2-1のin vitro典型基質にも載っている
コルヒチン 痛風発作の治療薬 —

阻害薬の代表薬は?

ガイドラインの表2-4(in vivo典型阻害薬)のうち、添付文書の相互作用に出てくる薬です。ほかの阻害薬は「くわしい条件」にあります。

一般名 薬効 ポイント
ベラパミル カルシウム拮抗薬(抗不整脈薬) ジゴキシンの添付文書では、腎排泄が抑制されて血中濃度が上昇するとの報告。ダビガトランの添付文書では併用注意
アミオダロン 抗不整脈薬(Vaughan Williams分類III群) ダビガトランの添付文書では併用注意で、「P-糖蛋白の阻害によるもの」と考えられている
キニジン 抗不整脈薬(Ia群) ダビガトランの添付文書では、併用で曝露量が上がる(外国人データ)
クラリスロマイシン マクロライド系抗菌薬 ジゴキシンの添付文書では、血中濃度が上昇するとの報告。ダビガトランの添付文書では「顕著な影響は受けない」
イトラコナゾール アゾール系抗真菌薬 ダビガトランの添付文書で、経口剤は併用禁忌。CYP3AとP-gpの両方を阻害する(ガイドライン7.9.2)
リトナビル HIVプロテアーゼ阻害薬 ジゴキシンの添付文書に「P糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制により、血中濃度が上昇するとの報告がある」と記載

誘導薬の代表薬は?

ガイドライン付録の表1-6(in vivo誘導薬)はP450の表で、P-gpの誘導薬の表はありません。そのため、この表は添付文書の記載から作りました。

一般名・食品 ダビガトランの添付文書 ジゴキシンの添付文書
リファンピシン(抗結核薬) 併用で、総ダビガトランの曝露量が約1/3に低下。「P-糖蛋白の誘導によるものと考えられる」(外国人データ) 「P糖蛋白質、肝薬物代謝酵素の誘導作用により、本剤の血中濃度が低下するとの報告がある」
カルバマゼピン(抗てんかん薬) 血中濃度が低下することがある 併用後、血中濃度の低下が認められたとの報告(機序の記載なし)
セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 血中濃度が低下することがある 本剤の排泄が促進され、血中濃度が低下するおそれがある

国試で出る相互作用は?

ジゴキシンとダビガトランエテキシラートの組合せを、添付文書の記載どおりにまとめました。

  • ジゴキシン:血中濃度が上がる併用薬は、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リトナビル、トルバプタン、ベラパミルです。下がる併用薬は、リファンピシンです。
  • ダビガトランエテキシラート:イトラコナゾール(経口剤)は併用禁忌で、血中濃度が上昇して出血の危険性が増します。ベラパミル、アミオダロン、キニジンなどの「P-糖蛋白阻害剤」は併用注意で、血中濃度が上昇します。リファンピシンなどの「P-糖蛋白誘導剤」は併用注意で、血中濃度が低下します。

ジゴキシンとベラパミルの機序には、書き分けが必要です。ジゴキシンの添付文書は、機序を「本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある」と書き、P糖蛋白質とは書いていません。ベラパミルの添付文書(ワソラン)も、ジゴキシンについては「ジギタリスの血中濃度の上昇は本剤のジギタリスの腎排泄抑制によるものと考えられる」と書いています。一方で、薬物相互作用ガイドラインの表2-4はベラパミルをP-gpの典型阻害薬に載せていて、第110回の問174は、ジゴキシンとベラパミルの組合せの関与トランスポーターをP-糖タンパク質として出題しました。

過去問では、どう出る?

厚生労働省が公表している過去問と正答で、P-gpが出た問題です(問題文は要点の言い換え)。

回・問 問われたこと 答え
第110回 問174 腎排泄過程の相互作用で血中濃度が上昇する薬物・併用薬・トランスポーターの組合せ(2つ選ぶ) 正答は3と4。4はジゴキシンとベラパミルとP-糖タンパク質、3はメトトレキサートとプロベネシドと有機アニオントランスポーターOAT1、OAT3
第111回 問171 静脈内投与された薬物の、血液と脳の間の移行 正答は2と3。選択肢4の「P-糖タンパク質の基質となる薬物では、血漿中非結合形濃度は脳内非結合形濃度より低い」は誤り。P-gpは基質を細胞の外へ押し出すので、基質になる薬は脳内に入りにくくなる
第111回 問266・267 イトラコナゾールとダビガトランの処方提案と、その機序 問266の正答は3(イトラコナゾールによりダビガトランの血中濃度が上昇するため、処方3の薬剤をテルビナフィン塩酸塩錠へ変更する提案)。問267の正答は4の「消化管におけるP-糖タンパク質の阻害」
くわしい条件

ガイドラインの位置づけ

この記事の表は、2018年(平成30年)7月23日付のガイドラインの付録(11.3項)にある表2-3(in vivo典型基質)と表2-4(in vivo典型阻害薬)をもとにしています。2024年(令和6年)11月27日付で、国際調和版の「薬物相互作用試験に関するガイドライン」の通知(医薬薬審発1127第2号)も出ており、通知本文には「国内ガイドラインと重複する内容についてはICHガイドラインを参照してください」と書かれています。

阻害・誘導と、CYP3Aとの重なり

基質と阻害薬を併用すると、基質の吸収が増大する可能性があります(ガイドライン2.3)。ジゴキシンでは、P糖蛋白質を介した排泄の抑制により血中濃度が上昇するとの報告があります(リトナビルなど)。P-gpの発現誘導により、薬の吸収が低下する薬物相互作用もあります(ガイドライン2.3)。

ガイドライン11.2項の図2-2の注には、「P-gpは消化管吸収や尿細管分泌、中枢移行性に関与する」と書かれています。また、ガイドラインは「CYP3Aの基質はP-gpの基質であることが多く、その両方が阻害又は誘導された場合の薬物相互作用のリスクを念頭に置いて評価する」としています。イトラコナゾールのようにCYP3AとP-gpの両方を阻害する薬では、AUCの変化がどちらの分子によるのかを特定できないとも書かれています(ガイドライン7.9.2)。

基質の残り(表2-3)

  • ダビガトラン・ジゴキシン・フェキソフェナジン・コルヒチン以外:アリスキレン(直接的レニン阻害薬)、アンブリセンタン(エンドセリン受容体拮抗薬)、エベロリムス(mTOR阻害薬)、シロリムス(mTOR阻害薬)、ラパチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬。阻害薬の表2-4にも載っている)、ニロチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬)、トポテカン(トポイソメラーゼI阻害薬)、マラビロク(CCR5阻害薬)、サキサグリプチン(DPP-4阻害薬)、トルバプタン(バソプレシンV2受容体拮抗薬。ジゴキシンの添付文書で併用注意の薬として載っている)。
  • フェキソフェナジンの表2-3の注には、肝消失にOATP1B1などが、腎排泄にOAT3などが関与するとあります。
  • 表2-1には、in vitro試験で使う典型基質として、ジゴキシン、フェキソフェナジン、ロペラミド、キニジン、タリノロール、ビンブラスチンが載っています。

阻害薬の残りと数値(表2-4)

  • ベラパミル:ダビガトランの添付文書では、ベラパミルをダビガトランの1時間前に単回経口投与すると、ダビガトランのAUCが2.43倍(外国人データ)。反復投与で、ダビガトランエテキシラートをベラパミルの2時間前に服用した場合はAUCが1.18倍で、臨床的に問題となる相互作用は認められませんでした(外国人データ)。
  • アミオダロン:ダビガトランの添付文書で、併用でAUCが1.58倍(外国人データ)。
  • キニジン:ダビガトランの添付文書で、併用で曝露量が1.53〜1.56倍(外国人データ)。表2-2のin vitro典型阻害薬にも載っています。
  • クラリスロマイシン:ジゴキシンの添付文書では、腸内細菌叢への影響による代謝の抑制、あるいはP糖蛋白質を介した排泄の抑制により血中濃度が上昇するとの報告。ダビガトランでは「顕著な影響は受けないが、併用によりダビガトランの血中濃度が上昇することがある」と書かれています。
  • アジスロマイシン(マクロライド系抗菌薬):ジゴキシンの添付文書に「P糖蛋白質を介した本剤の輸送が阻害されるとの報告がある」と記載(機序の詳細は不明)。
  • シクロスポリン(カルシニューリン阻害薬):表2-4の注に、OATP1B1とOATP1B3も阻害することがある、消化管のP-gpも阻害すると報告されている、とあります。
  • ロピナビル・リトナビル配合:表2-4では配合剤として載っています。
  • カルベジロール(β遮断薬):ジゴキシンの添付文書に「カルベジロールでは本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある」と記載(機序の記載なし)。
  • ラパチニブ:基質の表2-3にも載っています。
  • 表2-4には、国内で未承認または販売停止などの薬(サキナビル・リトナビル配合、テラプレビル、チプラナビル・リトナビル配合)も括弧つきで載っています。
  • 表2-2(in vitro典型阻害薬)には、シクロスポリン、ケトコナゾール、キニジン、リトナビル、タクロリムス、ベラパミルなどが載っています。ダビガトランの添付文書では、ケトコナゾールとの併用で曝露量が最大約2.5倍に増加し、これもP-糖蛋白の阻害によるものと考えられると書かれています(外国人データ)。

阻害薬の並びは、薬効でまとめると整理しやすくなります。抗不整脈薬(アミオダロン、キニジン)、カルシウム拮抗薬(ベラパミル)、マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール)、免疫抑制薬(シクロスポリン)、HIVプロテアーゼ阻害薬(リトナビル、ロピナビル・リトナビル配合)の順です。

相互作用の機序の記載

  • ジゴキシン+クラリスロマイシン、エリスロマイシン:腸内細菌叢への影響による本剤の代謝の抑制、あるいはP糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制による。
  • ジゴキシン+リトナビル、トルバプタン:P糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制による。
  • ジゴキシン+ベラパミル:ジゴキシンの添付文書は、機序を「本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇するとの報告がある」と書き、P糖蛋白質とは書いていません。ベラパミルの添付文書の「P-糖蛋白を阻害することにより、相手薬剤の血中濃度を上昇させる」は、「P-糖蛋白で排出される薬剤(エドキサバントシル酸塩等)」の行の機序欄の記載です。
  • ジゴキシン+リファンピシン:P糖蛋白質、肝薬物代謝酵素の誘導作用による。
  • ダビガトランエテキシラート+ジゴキシン:互いに影響しません。ダビガトランの添付文書の16.7.3に、ジゴキシンとの経口投与での相互作用を検討して、ダビガトランの薬物動態にも薬力学的作用にも影響せず、ダビガトランがジゴキシンに問題となる影響を与えることもなかったとあります(外国人データ)。

過去問の補足

第110回 問174:選択肢2(メトホルミンとリファンピシン、OATP1B1)は、正答に入っていません。ジゴキシンの相手はP-gpだと、結びつけておきましょう。第111回 問266・267:イトラコナゾールは、ダビガトランの添付文書で経口剤が併用禁忌です。阻害薬の表では、P-gp阻害薬の行にあります。

問題文と正答は、厚生労働省の「第110回薬剤師国家試験問題及び解答」「第111回薬剤師国家試験問題及び解答」の公表ファイルで確認しました。問題文は要点だけを言い換えています。

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よくある質問

P-糖タンパク質(P-gp)とは何ですか?

薬を細胞の外へ押し出す排出トランスポーターです。小腸の上皮細胞では基質になる薬の消化管吸収を下げ、腎臓の尿細管では分泌に関わり、脳では中枢への移行に関わります。

ジゴキシンの血中濃度を上げるP-gp阻害薬には何がありますか?

ジゴキシンの添付文書には、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、リトナビル、トルバプタン、ベラパミル、アミオダロン、キニジン、シクロスポリン、イトラコナゾールなどが併用注意の薬として載っています。機序の記載は薬によって違い、P糖蛋白質を介した排泄の抑制と明記されているのはリトナビルやトルバプタンなどです。

P-gpの誘導薬には何がありますか?

ダビガトランの添付文書では、リファンピシン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品が「P-糖蛋白誘導剤」として載っています。リファンピシンとの併用では、総ダビガトランの曝露量が約1/3に低下したと書かれています(外国人データ)。

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出典・確認日

  • 厚生労働省「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(平成30年7月23日薬生薬審発0723第4号)。2.3、2.4、7.9.2、11.2の図2-2注、表2-1〜2-4を参照。厚生労働省の通知ページ、PMDA掲載のPDF(確認日2026-10-02)
  • 国際調和版:「薬物相互作用試験に関するガイドラインについて」(令和6年11月27日医薬薬審発1127第2号)。厚生労働省の通知ページ(確認日2026-10-02)
  • ジゴキシン錠(ジゴキシンKY錠、ハーフジゴキシンKY錠)添付文書、2026年3月改訂(第5版)。10.相互作用、16.5排泄。添付文書のPDF(確認日2026-10-02)
  • ワソラン錠40mg添付文書、2025年2月改訂(第4版)。10.相互作用。PMDAの添付文書ページ、添付文書のPDF(確認日2026-10-02)
  • プラザキサカプセル75mg・110mg添付文書、2025年11月改訂(第5版)。2.6禁忌、10.相互作用、16.7薬物相互作用。添付文書のPDF(確認日2026-10-02)
  • 厚生労働省「第110回薬剤師国家試験問題及び解答」公表ページ、「第111回薬剤師国家試験問題及び解答」公表ページ(確認日2026-10-02)

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